WORKS事例
クライアントはアルミ・ステンレス・鉄などの金属溶接加工分野で高い技術を持つ企業である.
事業拡大に伴い旧工場が手狭になったため,本社事務所の移転とともに新工場の計画がおこなわれた.
古くは田園と農村風景が広がったこの地域であるが,現在は物流の利便性の良さから工場が多く混在するエリアになっている.
基本設計の最初に,いかにも工場といった普通の箱型建物ではダメ,みんながあっと驚く岸和田で一番の工場を建ててほしいと,クライアントに言われたことが深く印象に残っている.
設計者なりに解釈すれば,それは敷地外との関わりを重視したいということである.
工場という用途を単に考えれば,内部の生産能力や機能性が重要であり,出入りする人や物の流れは限定的である.
しかし,それ以外の側面に明確に焦点を当てることで,周辺地域などの敷地外との関わりを積極的に持とうとしたことが本計画の特筆すべき点だと考えている.
竣工式の日に,おもしろい仕事をさせていただいたお礼をクライアントに伝えたとき,岸和田どころか大阪で一番の工場ができたと言ってもらえ,すべての努力が報われた.
設計者冥利に尽きる経験をさせてもらったことに大変感謝している.
用途 工場
竣工 2024年7月
施工 ヒロタ建設株式会社
写真 笹の倉舎 / 笹倉洋平