7節 ’25万博のこと|環創研/北條建築事務所

日々是建築コラム

2025.07.317節 ’25万博のこと

あまりにも多くの先輩,友人,知人が深く関わっている今回の万博.

日々話題に上がるので,そのうち行くこともあるのかなとゆったり構えていたが,ふと手帳をめくっていくともう会期中に私の予定は空き日がない.

どんなに忙しくても遠くても行きたいところには段取りをすぐ立てる私が,大阪に住んでいてこうなのは,要するに興味がないのだ.

興味がないことを日頃考えることすらしないわけだが,なぜ私が今回の万博をそういう捉え方になっているのかちょっと考えてみた.

 

国際博覧会条約 第一章に万博の定義や目的が書かれているが、その第一条に「略・・公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動・・略・・において達成された進歩若しくは・・略・・ 将来の展望を示すもの・・」とある.

これについて私は全く異論がないのだが,ここで感じていた違和感が少し理解できた.

定義や目的が書かれている文章のどこにも「建築」という言葉は出てこない.

’70万博当時の条約にも当然「建築」というワードは存在しないのだが、日本の現代建築史の中でやはり’70万博会場の建築群は語り草になっている.

現在でも万博=パビリオン(その矮小型ともいえる休憩所やトイレなども含め)と誤認している世論が大勢を占める状況はそのあたりに理由があるのだろう.

’70万博会場は(多くの殉職者を出しながらも)当時の時代性に裏付けられた成功例だったわけだが,半世紀以上のときを経てそれを再び呼び起こした点がそもそも私がそっぽを向いた理由だったのかもしれない.まるでゴースト見たさの肝試しのように.

私は決して興行的な話をしているわけではない点,補足する.

 

少なくとも条約にあるような,達成された進歩や将来の展望が明確にわかるように,そこでの建築的手法がいかに普遍的な道筋を提示しているかがもう少しわかりやすければよいのだが.

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