日々是建築コラム 2章 建築家の本質|環創研/北條建築事務所

日々是建築コラム

2021年02月13日日々是建築コラム 2章 建築家の本質

さて本章では、建築家の本質について、考察を深めていきたいと思います。

 

 

その前に、建築家という職業がどのような要素を持っているかをまず考えます。

 

昔から「心技体」という言葉がありますが、何事においても事を成すには実は「心・体・技」の順で考える必要があります。

 

まず第一に気力を充溢させ、体力を向上させ、その上で技量を高める。

どのようなプロフェッショナルの世界でも、同じ順で捉えられているのではないでしょうか。

 

その「心・体・技」の考えと同じように、建築家の職能には、大別して次の3つの要素が融合していると思います。

 

 

【プロデューサーとして】

 

これは意図を発現するという意味で、建築家の仕事の根源的なパートです。

 

基本的にはクライアントと二人三脚で、時にはクライアントのお客さまの意見をリサーチしたり、さらには施設の利用者も交えてワークショップを開催したり、建築行為の動機の部分を掘り下げ、企画を行います。

 

家であればクライアントの暮らし、社屋やお店であればクライアントの事業といったように、その建築によって実現される成果の部分について、ディスカッションを重ね構想を練ります。

 

どこに建てるのか、予算をいくらにするのか、資金はどこから準備するのか、そんな生活をしたいのか、どんなお客さんに来てもらいたいのか、お客さんにどういう体験をしてもらうのか・・・, etc.

 

この段階で話すべきことは無限大です。

 

そしてこのパートをどれだけ深められるかで、建築のデザインは大きく異なるものになっていきます。

 

 

【デザイナーとして】

 

企画をしっかり練ったら、いよいよ意匠の設計がはじまります。

 

発現された意図に従い、デザインという手法を使って、人間との関係性を念頭に置きながら空間にスケールを与えていきます。

 

また空間デザインには素材選定やディテール検討(詳細図)がとても重要になってきます。

 

空間というのは人間がそこに入ってなにか行為を行うことで、はじめて建築となります。

見た目が建築っぽくても、人間が空間内部に入ることができなければ、それは建築とは呼びません。

 

建築は常に人間との空間体験的な関係性を失わないのです。

仕上げの素材を五感で感じたり、空間形状を視覚的に認知したりすることが大事なのはそのためです。

 

また、意外に思われるかもしれませんが、予算に留意して適正なコスト管理を行いながら工事の内容を決めていくこともデザインの一つの要素に含まれます。

 

 

【エンジニアとして】

 

最後に、技術者として建築にスペックを与える作業があります。

 

耐震性能や省エネ性能をどのレベルに設定するのか、耐久性や耐候性をどう評価するのか。

また電気、ガス、水道などのインフラ接続や、敷地内や建物内の各設備の仕様選定など。

 

建築を快適に、そして長期的に必要なスペックを保つために、テクニカルな要素はとても重要です。

 

建築家は他のアーティストとは異なり、クライアントのお金でクライアントの生活や事業に密接に関わる器を創る仕事です。

 

クライアントが持っている夢や希望を、潜在的なものから将来的なものまで、どれだけ幸せな形で具現化できるかを追求することが、建築家の本質ではないかと考えています。

 

 

【建築家団体】

ちなみに、世界には国際建築家連合(UIA)という組織があり、124ヶ国、約130万人の建築家が所属しています。

日本からは公益社団法人日本建築家協会(JIA)が国際的な建築家としての責任と倫理を保証する団体として認められています。

 

※日本建築家協会HOME 〉JIAとは 〉JIAの歴史 より

http://www.jia.or.jp/guide/about_jia/history_jia.htm

 

 

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