WORKS事例
旧上妻家住宅の建造物有形文化財として貴重な主屋や門のみならず,種子島の旧統治階級である上級武家の屋敷構えとして,敷地全体の文化的価値を継承するとともに,市民の皆さんにとって歴史や郷土学習の場として利用促進を図ることを考えました.
また来島する観光客への認知度と滞在の満足度を高め,旧上妻家住宅をはじめ種子島の歴史,文化を島外へ発信する機能を担う便益施設とするために,「付属屋の復原的増築」を本提案の指針となる考え方として提唱しました.
一般に復原的といえば改修,という言葉が続きますが,旧上妻家住宅は近世の付属屋の姿を類推するのが難しく,そのため今回の便益施設を主屋に対する付属屋と捉え,気候風土に根差した復原的計画を検討しました.
この土地の持つ歴史的・文化的マインドを理解することが重要であり,そうすることで旧上妻家住宅の敷地や建造物が重ねてきた歴史に敬意を払いつつ,現代に即した施設の在り方を提案できるのではないか.
この便益施設に求められる本質は何か,設計提案の要項からだけでなく,得られる限りの資料から丁寧に読み解くことに時間をかけました.
それは文化遺産に併設される施設の性質によって,文化遺産自体の魅力を大きく向上させることも,またその逆も起こりうることを知っているからです.
便益機能と支援機能の関わり,旧上妻家住宅の付属屋としてふさわしい佇まい,現代に建てるからこその創意工夫などを深く考察し,そして主屋にそっと寄り添い共生する,そんな施設にしたいと思いました.
用途 博物館・観光施設
構造 木造一部RC造
規模 平屋建て



