2023年11月01日設立8周年のご挨拶

今までお世話になった皆さま、心より感謝申し上げます。

 

最近はモノからコトへとデザインが扱うべきと考えられている対象が広がりを見せています。

分業化された社会が度重なる災害やコロナ禍を経て、再び横断的に結びつきを強くしていきたいという人々の心の表れだと感じます。

 

しかし建築というモノの創り手である以上、創意工夫でもって一つ一つの建築を入念にデザインし、モノとしての質を高めていくことを前提にしたい。

 

行き過ぎた経済的合理性の追求や、設計者や現場の手間暇を惜しむ風潮が生み出す薄っぺらいカタチが世に溢れていることに辟易しつつも、厭世的にならずに自身の手の届く範囲を少しずつ広げていきたい。

 

いくら技術革新が進んだとしても、経済的格差が広がったとしても、モノづくりは本来とても楽しいものです。

 

建築家が社会との関わりにおいて、個にして全、全にして個であるならば、私一人くらいは徹底して時代のオモシになるような生き方を選んでみたいと、そう考えています。

 

『自然と文化を大事にしながら、暮らしの幸せを育む建築』をテーマに掲げて9年目。

 

気遣いを以て人と成し、自制を以て美徳とす。

これは私の好きな言葉であり、建築を生み出す精神です。

 

これからも社会における自身の在り方を自問自答し、よりよい未来を目指して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。

 

 

令和5年11月吉日

北條 豊和