所長BLOG

2023年02月02日所長BLOG vol.202 泉大津市文化財保護委員研修会

本日(2/2)は、泉大津市文化財保護委員研修会で中之島・北浜界隈の国重文を巡りました。

 

1件目は、大阪市中央公会堂(中之島公会堂)

明治44年(1911)に建設費として100万円を寄付した岩本栄之助が、その後第一次世界大戦の影響で莫大な負債を抱え、公会堂の完成を見ずに39歳の若さで自害したことを知りました。

コンペで基本設計者を選定したことと辰野金吾が実施設計に携わっていることは近代建築を考える上で重要です。

3階の特別室は洋風意匠に日本神話の天地開闢が描かれており独特の雰囲気がありました。

 

 

2件目は、大阪府立中之島図書館(大阪図書館)

平成10年(1998)に正面玄関の天井裏から明治36年(1903)の棟札が見つかったことで、大阪図書館にも工事顧問として辰野金吾が携わっていたことが判明したという話が興味深かったです。

中央ホールは八哲の名に囲まれ、図書館というものが知性の番人であるということを再確認できる空間でした。

 

 

3件目は、適塾

司馬遼太郎の花神の描写も思い返しつつ、一冊しかなかったヅーフ辞書を塾生達が奪いあうように利用したために明かりが消えることがなかったというヅーフ部屋を見られたのが特にうれしかったです。

学問の本来の在り方を考えさせられます。

前面道路の拡張に伴って軒切りが行われたために、ファサードのプロポーションが変になっているのがもったいないなと思いました。

 

 

本年度の文化財保護委員としての活動はこれで終了です。

また来年度も引き続き活動してまいります。

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