所長BLOG vol.348 2024年10月論考|環創研/北條建築事務所

所長BLOG

2024年10月13日所長BLOG vol.348 2024年10月論考

ドバイから帰ってきた.

10月も残り18日,浅草→湯布院→京都→奄美大島→鹿児島→種子島→鹿児島→大垣→美濃町→湯布院と出張が続く.

 

監理中4件と実施設計中1件,基本設計は終えているが実施設計を待ってもらっている1件,ちょっと何件やっているか覚えていない基本設計の数々で,気を抜く間はない.

条件の悪い(無論報酬の多寡ではなく思想に合わない)依頼は,お互い時間がもったいないので断っている.

 

近世近代の建築・都市史の研究業務と依頼される設計業務の二軸のバランスを保ち,近世近代をいかに現代とつなげるかを考えている.

逆に言えば近世近代とつながらない現代は未来につながることはなく,そういう空間論考では100年後,200年後に遺伝子が残ることもおそらくないのである.

 

日本では近代の終わりを戦後で一括りに語られるが,決して物理的な都市破壊が主な原因であったわけではない.

規模は比較的小さいかもしれないが,それまでも災害や大火,戦乱は数多くあった.

日本の戦前戦後のように,中東ではオイル前オイル後と語られることを知ったが,都市環境に与えた影響は結果としてよく似ているようだ.

 

そんなことを考えながら帰国したわけだが,私は今までいわゆる戦後をテーマに扱ってこなかった.

しかし近世近代研究の時代的レンジを日本においては(都市的に戦後が終わったと考えられる)昭和50年頃まで押し広げることで,近代建築の終焉の全貌を明らかにするとともに,現代建築へのバトンの受け継ぎがしっかりできるのではないかと思う.

 

今抱えているいくつかの研究の詳細はここには書けないが,さっそくその視点を取り入れてみることにする.

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