WORKS事例
大正から昭和初期に建てられた長屋が多く残るこのエリアも,徐々に建て替わりが進んでいる.
そんな旧市街の街並みの中で,都市が持つ環境ストレスから解き放たれた居住性を求める計画を考えた.
両側に並ぶ長屋と外壁面を揃えることで通りに対するボリュームに配慮しつつ,ガレージを通り抜けて奥に外部ゾーンを広く取ることで,路地のような奥行きのあるプライベート空間を確保した.
2階LDKから3階セカンドリビングへたてに広がる空間は,光と風をLDKに半永久的に届けるための装置であり,南側隣地の長屋が将来的に建て替わっても居住環境が損なわれることがないように工夫したものである.
また空間のたての広がりは同時に,ご家族のつながりを強くイメージした断面検討の結果でもある.
日照や通風,そしてプライバシーなどの居住性を確保しつつ,クライアントの暮らし方への思いに実直に応えた計画となっている.
家の中に家族の居場所を点在させ,それらをゆるやかに結びつける提案.
日々の生活もしやすく,そして休日がちょっと楽しみな家になればと思っている.
用途 一戸建ての住宅
竣工 2020年11月
施工 ヒロタ建設株式会社
写真 松本朋也